VLZの想いで

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私が大学2年の頃、市内の百貨店がビルを建て替えて新装オープンした時に時代の波で
オーディオ・コーナーがミニ放送局と併設されて出現しました。オーディオ・ブームの先
駆けといえるもので、目新しさもあって大勢の客が出入りしていました。それまで一部の
人に限られていたオーディオが、さまざまなコンポーネント・スタイル機器の出現により
卓上プレーヤー等でレコードを楽しんでいた人が一気にそれまでのセパレート・ステレオ
主流から飛び越えて高性能なシステムを手に入れることが出来るようになりました。国内
オーディオ専業メーカー数社が一部のマニア向けに生産していた技術を吸収して、大手家
電メーカーの殆どが別ブランドを立ち上げて一気に大量の製品を供給することが可能とな
ったこともあり、一般の人々でも高性能なオーディオ機器を手に入れることが容易になり
ました。しかし、海外製品となると話は別で桁違いの価格であったため当時では秋葉原な
どへ行かないと見ることも不可能なものでした。私も短期間に雑誌などを読みあさって知
識を蓄えながらアルバイトに精を出して資金を作っていた頃に丁度、新装オープンしたば
かりのこの百貨店に立ち寄りました。すると、雑誌で見たことのある海外製品も陳列され
ており「JBL」など数社のスピーカーが目に留まりました。しかし、価格が国内メーカ
ーとは比較しようがない大きな壁となり「音質」を聴いて参考にしようという考えまでに
至りませんでした。店内をうろついていると、店員の人が近づいてきて話しかけてきまし
た。暫く話を続けていると今回の予算に納めるには無理ですが、将来的に方向性を決めて
この趣味を続けていくとが大事なことなのでせっかくの機会ですから幾つかのスピーカー
の特徴をお聴かせしますから「参考にしてください」ということになり、説明と音楽を交
互に聴きました。最後に「TANNOY」という小さくて奥行きの無い見た目もぱっとし
ないスピーカーを聴かせてくれましたが、名称も何と読むのか不明?で更に音もぱっとし
ないものでした。イギリス製でクラシック・ファンに絶大な人気のスピーカーであるとい
う説明でしたが、このときは全く理解することはできませんでした。このスピーカーこそ
「VLZ」だったのです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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TANNOY VLZ 295HPD