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ある日、オーディオショップなどで顔を合わせることのある同好の人が「パラゴン」を
購入したらしい噂話が耳に入ってきました。ごく一般の人で時折言葉を交わす程度の関係
でしたが「羨ましく」て今度どこかで出会った時には声を掛けてみようと思いました。当
時でも150万円程度の価格だったことから一般の人で購入することは難しい頃で、お医
者さんや会社経営者などでも滅多に所有している人はいませんでした。私も他県にあるジ
ャズ喫茶などへわざわざ電車賃を払って見に行ったことがありましたが、それほど珍しい
スピーカーだった時代に、地元のそれも同年代の個人で購入する勇気と決断に驚いてしま
いました。その後、この時の納品に関係した人と話す機会が合ったときに聞いた話では、
当時のクレジット契約が金額の大きさからなかなか成立しないことで関係者は大変な思い
をしたようでした。大げさに言えば「ちょっとした土地が買えた」時代でしたから、無理
も無かったと思います。私もこの話に勇気づけられたことから、その後の機器の購入金額
が大きくなったことで48回払いや60回払いなど無茶な契約を繰り返してオーディオに
のめり込んでいきました。高金利の時代でしたから、今となっては「何と恐ろしいこと」
をしていたのか理解が出来ません。「無鉄砲で怖さ知らず」の自分が育っていました。
そんな頃の私でも流石に本気で購入を試みることはありませんでした。「いつの日にか
!」という心は持ち続けましたが、結局5年、10年と時が経っていっても現実的な感覚
で購入を試みることはありませんでした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
オーディオにのめり込んで20年経った頃には、メイン・システムが構築されていまし
たので、「パラゴン」の入手を試みるべく知人の販売店から輸入元へ問い合わせてもらう
と、製造担当者の高齢化で「生産終了が近い状況」という返事がありました。その時点で
の販売価格は350万円と更に高額になっていました。当時は、車のローンを返済途中だ
ったこともありとても購入できる可能性は無く、この時も諦めざるを得ませんでした。
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