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昭和から平成へと年号が変わって数年経った頃にはそれまでのLPレコードからCDへ
と音楽ソースの主流が変わっていった頃でもありました。私は周りの人々が次々とCDへ
と移行してゆく中で孤立しかけていました。何としてもその音に対しての抵抗感を払拭で
きずに時には拒絶感を露わにすることもさえもありました。「雑音も音の内」というのが
考えの一つとして根強くあったことから「余韻」というものには耳には聞こえない周波数
帯までの幅広い音が影響しあって届くもので「直接音」或いは「間接音」がスピーカーの
振動によって生まれてから空気伝導としてスピーカー・ボックスから放たれ、部屋の壁な
どからの反射音も含めた音の集合体が耳に到達して初めて聞こえる訳で、そのプロセスを
必要としないならば「ヘッドフォン」で聴けばよいのではないだろうかというのが私の考
えであった。以前、オーディオ専業メーカーの技術者が自宅を訪問してくれた時にオシロ
スコープなどの機器を持参して部屋の音響特性を測定してくれたことがあったときも純粋
な音楽信号以外は邪魔者扱いをする傾向にありました。本当にそれでよいのであろうかと
私の考えを言いたい放題伝えると不思議そうな顔をして帰っていきました。残されたプリ
ントアウトしたデータグラフには必要ないとされる周波数帯の部分に印が付けられていま
した。私にとっては重要な低域部分は特に「音響特性上吸音することが望ましい」との意
見が付け加えられていました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、川上氏からCDプレーヤーを開発中なので試作機が準備できたらば直ぐに持参
するので試聴しないかと連絡が入り楽しみに待つことにしました。その間に拒絶反応ばか
りしていた私も、多少なりとも考えを緩めようと気持ちを替える努力をしましたが、簡単
に切り替えることが出来ずにいました。暫くして試作機が届いて試聴すると、いままでに
何台か聴いたことのあるCDプレーヤーとは比較できない良いものを感じましたが、技術
的な説明の理解はできても単純に音に対する理解にはもう少し時間が必要に思えました。
しかし、世の趨勢が変わってゆくことは間違いないことでもあり、今が決断の時と考えて
価格も発売時期も未定のプレーヤーを予約することにしました。・・・・・・・・・・・
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